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製品設計の仕組みの特徴

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「常識の壁をこえて こころのフレームを変えるマーケティング哲学」
ダン・S・ケネディ(著)  金森重樹(監修) 池村千秋(翻訳)  阪急コミュニケーションズ

 

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少し古い本からの引用です。マーケティング業界の第一人者であるケネディ氏は上記の著書(2005年出版)で、うまく行かない大企業の生涯の典型的なパターンを以下のように説明しています。

第一段階:迅速で大胆な経営を行うが苦戦を強いられる時期

第二段階:成功を収めはじめて、行き当たりばったりの経営からプロフェッショナルな経営へ移行する時期

第三段階:しだいに官僚的な体質になってきて、停滞期に入り沈滞気味となる時期

第四段階:組織が肥大化し、身動きが取れなくなる時期。そして死に絶えてしまう・・・

実際市場から消えている大企業の多くは、このようなプロセスで死んでいくのだろうなと思います。私はこれを読んで、組織における製品設計の仕組みも全く同じことが言えると思いました。以下のように言い換えることが可能です。

第一段階:迅速で大胆な設計を行うが品質問題や要求事項抽出漏れで苦労を強いられる時期

第二段階:成功を収めはじめて、行き当たりばったりの設計からプロフェッショナルな設計の仕組みへ移行する時期

第三段階:しだいに官僚的な体質になってきて、停滞期に入り沈滞気味となる時期
 (形式的な会議が増える。ハンコがたくさん必要になる。リーダーシップを取る経営者や社員がいない・・・)

第四段階:設計の仕組みが肥大化し、チャレンジングな製品が作れなくなる時期。そして死に絶えてしまう・・・
 (重い設計審査の仕組みが導入される。誰もリスクを取らないようになる・・・)

大企業の製品設計の仕組みは、どうしてもこのようなプロセスを辿りがちになるようです。大企業に勤務する技術者と話をしても、無駄な会議や書類がたくさんあり、疲弊しているという話ををする方がけっこういます。おそらくクレームが起きるたびに再発防止対策として、○○会議や△△チェックリストなどが追加されることになり、仕組みが肥大化して行くのではないかと思います。

クレーム対策で導入した仕組みは、そう簡単になくすことができません。その上、別のクレームが起きるたびに、また新たな仕組みが加わって行き、チャレンジングな製品を作る余力がなくなって行く。第三、第四段階にある大企業には、そのような悩みを持っているところが多いだろうと思います。

 

中小メーカーにとっては、二つの教訓が得られると思います。

①大企業と勝負するなら・・・
大企業が得意とする市場において、ガチンコ勝負で中小メーカーが勝てることはあまりないと思います。しかし、ライバルの大企業がもし第三、第四段階にいたとしたら、その組織の体質的に、以下のようなことは不得意なはずですので、勝負を挑んでみる価値はあるかもしれません。

■急激に変化する市場に対して、スピード感を持って新製品を設計・開発すること
(例:インバウンド向け製品、ドローンを使ったサービス 等)

■新機軸の製品を設計・開発すること
(例:ロボット掃除機、IoT 等)

 

②自社は第何段階?
自社の製品設計の仕組みはどの段階でしょうか。大企業に対して、中小メーカーが相対的に強みを発揮できるのは、スピードと柔軟性だと思います。リスクは取れるが、設計もその仕組みもプロフェッショナルな第二段階を目指してこそ、その強みが発揮できると思います。複雑すぎる仕組みを作らないように注意しつつ、品質問題を起こさないシンプルかつ効果的な仕組みを構築することに注力する必要があります。

 

私はよい製品を作るためには、よい製品設計の仕組みが必要だと考えています。中小メーカーの中には、必要な仕組みが整っていない第一段階にある企業が多いかもしれません。まずは、しっかりとした仕組み作りに注力しましょう。しかし、仕組みは放置すると、どんどん肥大化するという性質も頭に入れておいて損はないでしょう。仕組みが肥大化しそうになっているのなら、経営者はリーダーシップを持って、仕組みのシンプル化を図って行くべきだと思います。

 

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