図面・仕様書作成

前工程のFMEAまでに決定した製品の仕様を、図面・仕様書に写し取る作業を行います。後工程(内製、外注)が図面と仕様書を見れば、製品の生産ができるところまで仕上げることが理想的です。図面と仕様書は「契約書」であるということを意識し、図面と仕様書の両方で情報の抜け・漏れ・ダブりがないようにすることが大切です。

図面:
製品の詳細な仕様、形状、寸法、回路、配線図などを記載する。前工程までをしっかりやっておけば悩むことは少ない。後工程に「伝わる」図面にすることを意識して作成する。JIS規格に従い正しく描いていても、伝わらなければ何の意味もない。
※顧客に承認を得るために作成する図面を承認図といい、自社ノウハウを守るため詳細な情報を記載しないケースが多い。今回は承認図ではなく、後工程に渡すための図面を前提に解説している。

仕様書:
図面に入れにくい製品の詳細な仕様や取り決め事項を記載する。仕様書の定義は各企業や各業界によって様々であるが、今回は以下のように定義する。
 購入仕様書:自社(発注元)から外注先に渡す仕様書
 納入仕様書:外注先から自社(発注元)に渡す仕様書
 QA表:設計部門から内製製造部門に渡す仕様書

 

<購入仕様書記載例>

  内容
製造方法 製造時に必要な要求事項 ・塗装前の脱脂方法
・ドライバーのトルク管理幅
検査方法 検査時に必要な要求事項 ・検査の数量、内容、頻度、方法
・検査記録の保管期間
品質基準 品質の具体的な基準 ・外観検査の合否基準
・気密性試験の合否基準
包装仕様 包装に必要な要求事項 ・段積み強度
・落下試験基準
納品方法 納品に関する要求事項 ・トラック搬入方法
・納品時に必要な書類
その他 その他の取り決め事項 ・守秘義務
・仕様書の改訂方法

 

二回目の言及となりますが、図面と仕様書は「契約書」です。「契約書」のない取引でクレームなどの問題が起きた場合は、必ず立場の弱い受注側の方が不利になります。仕様書を作成していなくても、取り決め事項を議事録に記載すればよいと思われるかもしれません。しかし、時間が経過したり、担当者が変わると議事録の存在は忘れ去れてしまいます。すべての情報を図面と仕様書に集約することがトラブルを防止する最もよい方法だと思います。

また、製品のコストは仕様が確定しなければ計算することはできません。仕様書がない状態(詳細な仕様が未確定な状態)で正確な見積りが出せるはずがありません。コストに関する多くのトラブルが、仕様未確定なまま見積りを取り交わしていることに起因しています。図面、仕様書、見積り書を私は「3点セット」と呼んでいますが、見積りは常に「3点セット」が揃った状態で取り交わしをするようにしていくことが重要です。もちろん仕様が一部未確定なまま見積りを出すことはよくあります。その際は見積書に未確定な部分があることを明確にし、仕様確定後に再計算すると記載しておけばよいだけの話です。

図面を取り交わさないことはほとんどないと思いますが、仕様書を作成しない中小企業はまだまだ多いようです。受注側に回ることが多い中小企業こそ、仕様書をしっかり作成して行くことが大切だと思います。

 

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