製品開発や製品設計はブラックボックス化しやすく、経営者や担当者の思いつきで進められることが往々にしてあります。そういうケースではたまたま成功したとしても、継続して利益を生み出す製品に育てていくことはできません。顧客ニーズの変化に合わせて製品を改良したり、競合他社に勝つために品質や生産性を向上させるなどの活動が難しいからです。
顧客ニーズの変化を察知するためには、情報を収集・分析し設計部門にインプットする仕組みが必要ですし、品質や生産性を向上させるためには、初期設計時の設計情報が不可欠です。担当者が代わると情報を収集しなくなったり、設計情報を残す担当者と残さない担当者がいたりすると、製品を継続的に改善させることはできません。したがって製品設計に関する業務の手順(設計プロセス)を明確にし文書化した上で全員がそれを守る仕組みを作る必要があります。取得を勧めるわけではありませんが、ISO9001の理念自体は非常に的を射ており、利益を生み出す製品を育てていきたい企業はその考え方をしっかり学ぶ必要があると思います。
「うちの設計部隊は少人数だから仕組みは要らない」と思われる方もいるかと思います。しかし、担当者が退職したり、病気でしばらく会社に来れなくなったりした時はどうするのでしょうか。クレームが発生して設計を見直す必要があっても、設計した本人がいないと何も分からないという状態では、品質の改善はできません。担当者が退職したのでクレーム対応できませんという企業の製品を誰が買ってくれるのでしょうか。継続して利益を生み出す製品に育てていくには、残すべき設計情報を明確にした上で記録・保管する仕組みがどうしても必要なのです。
コンシューマー製品を念頭に、利益を生み出す製品設計の仕組み作りについて書いて行きます。